you Legend

職業 介護福祉士 

お地蔵さんの手のひらで勝手に喜怒哀楽

昔、仕事で山の調査をしていた時ですが、

ある村の集落の山でして、険しいけど標高は300メートルくらいの山道(獣道に近い)を歩いていたら、道脇から何だか人工的な石が地面に少し出てて、

何だろう?って思って、何気にそれを掘ってみたんです。持っていた小さなシャベルで。

それで掘っていくとどうやらお地蔵さんみたいで。

お地蔵さんが出てきちゃったんです。お顔が出てきて、さすがにここまで来たら掘り出さなきゃってなりまして、掘ったんですよ。

 

まあ、普通サイズの、普通サイズって言っても分かりずらいかも知れませんんが、よくあるタイプと言いますか、お地蔵さんでした。

横向きになって少し頭が表面に近く、胴体のほうが深く少し斜めに埋まっておりまして、ただ土は割と掘りやすく、まあ掘りまして立てまして、持っていたタオルで綺麗に拭いて、一度山を下りて近くの商店でワンカップを買ってきてお供えしたんですよ。

手を合わせて、、で、これでいいことしたなって感じで、その日の調査を終えて山を下りて会社に戻る途中で、ちょっと飲み物を買おうかなとお店に入りました。

そこで、頭がつるっつるの坊主頭のめちゃめちゃ怖そうな人とちょっとぶつかってしまい、因縁吹っ掛けられそうになって、もう心の中では、もうお地蔵さーん!ってなっていて、あれはやっぱり掘り出しちゃダメなやつだったのかなとか思って。

でも幸いそれ以上揉めることなく、事なきを得て、ああ良かった~と、まあいいやと会社へ戻り仕事して、帰ったんですね。

 

ちょっと遅くなりまして家への帰り道、辺りは暗くて、まあ田舎なんで山道を帰るんですが、突然車の目の前にタヌキが飛び出てきて、たまに出るんですよね、田舎の道は、テンとかハクビシンみたいなのが。

で、ハッとしてハンドルを切ったんです。山道って、道路わきに土側溝ってあるじゃないですか、水の流れる、そこにハマると車が出れなくなっちゃうんですけど、その時たまたま、車は土側溝をちょっと越えてすぐの所で止まったんです。

 

あ~良かった~、ハマらなかったよと思い、車の外に出てペンライトでタイヤの所を見てみたら、大きな丸っこい石が、タイヤが通ったところの土側溝にすっぽりハマっていて、自分の車はその上を通ったから、タイヤがハマらずに済んだことが分かりました。

もう奇跡的で心の中では、あのお地蔵さんだ!って思って、お地蔵さんありがとうございます。って、でもまあ一回、怖いつるつるな人とぶつかって、それで疑ったりしてごめんなさいって言って、良かった良かったと家に帰ったんですが、

 

よくよく考えたら、タヌキとか怖い人とかさえ出てこなければ良かったわけで、うーん、やっぱりお地蔵さん、嫌だったのかなあと思った、勝手に喜怒哀楽の一日でした。